Waves Renaissance Compressor レビュー
今回はWavesのRenaissance Compressorをレビューします。
コスパ最強コンプ
WavesのRenaissance Compressor(以下RComp)は、WavesのGoldバンドルなどにも入っているので持っている方は多いかと思います。単品でも、セール時なら3000円くらいで入手できるので、比較的入手しやすいコンプレッサーです。
しかし、価格の割に音作りの幅が広く、かかり方も自然なのでDAWのコンプにプラスして使う最初のコンプの候補にしていただきたいコンプです。
ソフトニー仕様で自然なかかり方
RCompはソフトニーを採用しているため、かかり方が自然です。ソフトニーというには簡単に言うとかかる・かからないの境界をやや曖昧にしてある仕様のことです。そのためスレッショルドに達していなくてもコンプレッションが反応することがあります。
ボーカルなどの不規則な上下が多い素材はもちろん、キックやスネアなどの打楽器系の音も自然にまとまりやすいです。あまりかかっている感じがしないサウンドにもできるので、コンプ2段がけの1段目としても最適です。
音質を選べる
RCompで見落とされがちなのが、上部の3つのボタンです。
・ARC(Auto Release Control)……入力レベルに応じてある程度リリースタイムを可変させる設定です。基本的には点灯で問題ありません。
・Electro/Opto……コンプレッサーの電子式・光学式を切り替えられます。主にリリースの質感が変わります。Electro(電子式)の場合はリリースの戻りが直線的で正確、Opto(光学式)の場合は戻りが二次曲線的で曖昧(少し潰れた部分が最後に少しフワッと残る)になります。これらの比較は強めに潰してリリースタイムを長めの400~500msに設定すればよくわかると思います。
・Warm/Smooth……コンプレッションされた部分の質感が変わります。Warmに設定した場合は、2次倍音が強調されたいわゆる「温かみのある音」、Smoothの場合は味付けのないサウンドです。これらの違いは強めに潰してアタックタイムを最速に設定するとよく分かるはずです。打楽器系の場合はアタックが「ベタッ」とした質感に、持続音の場合は張りが出るような感じになります。
設定次第であらゆる音作りができるので、それぞれの質感の違いは必ず確認しておいてください。例えば、キックのアタック感を図太くしたいときは、Warmのモードを選択します。ボーカルの音量を緩く曖昧に均一化させたい場合はOptoモードをします。入力される素材と、作りたいサウンドに応じて設定をよく考えてみてください。
個人的な印象ですが、打楽器、減衰音の場合はElectroモード、持続音またはサスティンが長い音の場合はOptoモードが上手くいきやすいです。Warm・Smoothに関しては味付けをするかしないかの違いになるので、楽器によって選ぶ必要はないと思います。
RCompに限らず、コンプレッサーに質感を確認したいときは、きつめにかけてアタックやリリースを長くしたり、その他の設定を切り替えてみると分かりやすいです。コンプに見慣れないボタンやスイッチが付いている場合もこの方法で対応できると思います。