Waves Maserati DRM レビュー
今回はWavesのMaserati DRMをレビューしたいと思います。
http://www.minet.jp/brand/waves/maserati-drm/
難解なドラムのミキシングをこれ一つで
Wavesのシグネイチャーシリーズは簡単に良いミキシングを行うことができるチートツールですが、その中でもMaserati DRMの完成度は非常に高いです。ドラムのミキシングはEQとコンプの組み合わせ方、各パーツの特徴の把握、複数の音を組み合わせる作業など、とても複雑になりがちですが、これ一つで複雑な処理を簡単に行えるようになっています。
Wavesのドラム用プラグインは他にもCLA Drums、Eddie Kramer Drumなどもありますが、CLAはやや大雑把すぎ、Eddie Kramerは若干レトロでローファイな風味があるので、万能ではない気がします。Maserati DRMは広く使える万能な音なので、様々なジャンルで使えます。
まずはドラムをパラアウトし、それぞれの素材に合ったプリセットをロードしてみてください。あらかじめ用意されたプリセットはスタートポイントにするのに最適なものが多いです。他のプラグインでもいえますが、イチから調整せず、プリセットで理想に近いものを選んでからパラメータを調節するといいでしょう。
あれこれやるよりはこれ一本でやったほうがよい
ある程度ミキシングに慣れている人であれば、サウンドソースに応じて使うプラグインを変えていると思います。ですが、一度このプラグインのみでドラム全部のミキシングを行ってみてください。するとこのプラグインの強みがよく分かってくると思います。
主な操作部は5つのツマミです。パラメータが少ないので、音作りに集中しやすくなります。
- SENSITIVITY……かかる強さ
- THUMP……サウンドの「太さ」に当たる部分
- SNAP……コンプによって立ち上がりを強調
- TREBLE……サウンドの「抜けの良さ」に当たる部分
- OUTPUT……最終的な音量
プラグイン下部にBD、SNR TOPなどのサウンドソースを選ぶボタンがありますが、これを切り替えると上部にあるツマミの効果が変わります。例えばBDを選んでいるときのTHUMPは50~60Hzの超低域、SNR BOTのときでは180Hz付近になります。同様に、TREBLEやSNAPのパラメータも、サウンドソースに合わせて効き方が変わります。
プリセットを調べてみると、SNAREと銘打っているのに対しサウンドソースがBDになっていたりするものもあります。他のシグネイチャーシリーズのプラグインでは、あまりこういったプリセットは無かったと思います。思うようなサウンドにできない場合は、別のソースのパラメータを試すのも有効です。
ROOMとOHの効き方が素晴らしい
キックやスネアはコンプとEQである程度音作りできる方が多いと思いますが、ルームマイクやオーバーヘッドマイクに対して何を行ったらいいのかよく分からない、という方は多いのではないでしょうか。このプラグインのルーム、オーバーヘッドの設定はとにかく素晴らしいです。少し触るだけで、こんな音作りができるんだということに気付かされます。ぜひプリセットも聴いてみてください。ルームマイクによってドラム全体の密度感、ざらつきがここまでコントロールできることに驚くと思います。
ご本人の解説動画もぜひ観てほしい
トニー・マセラティ氏の解説動画もぜひ見てみてください。ドラムだけでなく、ベースなどにもふれています。