OzaShin’s diary

活動報告、機材レビュー等

早く曲を作る方法について

私は歌モノを中心に作曲・編曲をやっていますが、1コーラス(1分30秒~2分程度)であれば1日あれば作ることができます。学生に「早く曲を作る方法を教えてください」と聞かれたので、自分なりに整理する意味も込めていくつかポイントを書いていこうと思います。

プラグインの使い方などの技術的な話はあまり出てこないので、少し期待外れの記事になってしまう方もいるかもしれません。

①早く作れた経験を次に生かす

10曲くらい曲を書いたことがある方であれば、いつもより早く曲が完成した経験があると思います。曲が早く完成したら、どうして早く完成できたのかを振り返ってみましょう。ジャンルが得意なものだったのなら、似たようなジャンルであれば早く作れるかもしれません。暗いメロディがすぐ思いついたのであれば、同じようなメロディでもう1曲作ってみましょう。他にも、朝作ったら上手くいったとか、歌いながらメロディを作ったらすぐできたとか、いろいろな要因があって早く作れることがあります。

反対に、いつもよりも時間がかかってしまった場合も反省点にすれば次に生かすことができます。自分の場合は、AメロやBメロへの繋がりを考えずに、なんとなくイントロを作ってしまうと時間がかかってしまうことが多いので、最近はイントロABサビの流れが完璧に決まるまではDAWを開かない、という決まりを作っています。どういうときに早く作れたのかをよく覚えておくとよいでしょう。

 

②イメージした音を素早く取り出せるようにする

頭の中で「こういう音が欲しい」と思ったら、すぐにその音が出せるような環境を作りましょう。自分の場合、シンセを買ったら必ずプリセットをくまなくチェックします。レーティング機能やお気に入り機能(よく使うプリセットをメモできる機能)がある場合は、使えそうな音色と実際に使った音色はチェックをつけておきます。単発のオーディオ素材なども、よく使うものにはチェックを付けておきましょう。

どの音源のどこにどの音が入っているのかをある程度暗記しておきましょう。ギラギラしたシンセベルはあの音源に入っている、ズンズンいうギターのバッキングはあのギター音源にこのアンプをかけると作れる、といったことは一通り覚えておきます。音作りが面倒な場合は、自分でプリセットを作っておきます。場合によっては、EQやコンプ、その他のエフェクトがかかった状態でトラックが立ち上げられる状態にしてもOKです。とにかく、音色を探す時間を極力減らす努力をしましょう。

しかし、いつも同じ音色を使っていると飽きてしまったりアイデアがワンパターンになってしまうこともあるので、たまに気まぐれで無作為に音色を選んでみたり、チェックが付いていない音色を聴き直したりしてみるといいかもしれません。

 

③テンプレートを使う

楽曲制作のスタートポイントとなるテンプレートを作りこみましょう。よく使う音源などはあらかじめ立ち上がった状態にしておくととても便利です。自分の場合は、マルチ音源が立ち上がっており、パラアウトや外部シンセの設定が全て完了している状態をスタートポイントにしています(下写真)。

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新規プロジェクトを立ち上げる時間は少し遅くなりますが、イチから設定するよりも遥かに早いです。必ずテンプレートの音源をすべて使うとは限りませんが、その場合は今回は使わないと判断した時点で消せばいいだけのことです。

プロジェクトのテンプレートの作成は、どんなに時間がかかってもやるべきだと思います。時間が経つと使わなくなってくる音源なども出てくるので、たびたびテンプレートは更新するようにしましょう。

よく使っている音源などがよく分からない、という方は、完成した楽曲をそのままテンプレートに流用する方法を使うといいです。やり方は、プロジェクトファイルのバックアップを取り、トラックは残したまま入力内容のみを全て消してテンプレートとして保存すれば完成です。こうすることで、音作りが全て出来上がっている状態から曲作りを始められます。

 

④ワンクリックでも減らす努力をする

作業時間を極力減らすために、よく行う操作のショートカットは全て暗記して手に覚えさせます。Ctrl+Cなどはもちろん、複製、カーソル操作、編集操作などはなるべくショートカットなどで行うようにしましょう。DAWが変わると作業ができなくなるくらいまで使い込むようになると、相当入力が早くなっていると思います。

DAWによってはショートカットを自分で割り当てできるものもあるので、便利な操作は分かりやすいものに割り当てしておくとよいでしょう。Cubaseの場合はショートカットを自由に編集できるので、かなり細かく設定して使っています。あまり使わない操作は上書きしてもよいと思います。

多機能マウスやフィジカルコントローラーを使うのもとてもお勧めです。マウスに「元に戻す・やり直し」を割り当てすると、とても編集が楽になります。フィジカルコントローラーを使うと、特定の画面を開く手間が省けたり、画面を見ずに手元の間隔だけで編集ができるようになったりします。「この操作、もっと短縮できないだろうか」と思ったら、解決できる方法を探してみましょう。

 

⑤アイデアのストックを常に作っておく

メロディやリフなどの、曲のモチーフとなるアイデアは常に貯めておき、必要なときにすぐに使えるようにします。鼻歌録音などでもOKですし、MIDIに入力しておいてもいいです。ただし、聴きなおすのに時間がかかる保存の方法はNGです。DAWのプロジェクトにメモするのは、立ち上げるのに時間がかかってしまうのであまりお勧めしません。

また、せっかくアイデアを保存してあっても、後で聴きなおしたときに何の意図をもってそのメロディを作ったのかが分からなくなってしまうと意味がありません。「感動的で壮大なバラード、ストリングスが合いそう」や「BPM160くらいの泥臭いロック」など、自分だけが分かるファイル名で構いません。鼻歌録音の場合は、メロディを歌う前に「〇〇をイメージした曲!」などと吹き込んでおくこともできます。

 

以上です。どのようにすれば早く作業が進むのかは個人差があると思いますが、何か参考にしていただければ幸いです。