OzaShin’s diary

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Waves H-Comp レビュー

今回はWavesのH-Compをレビューしたいと思います。

Waves - H-Comp Hybrid Compressor | Media Integration, Inc.

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デジタルとアナログの良い所取り

WavesのHシリーズはデジタルの手軽さや正確さとアナログの音の自然さを併せ持つプラグインを作るというコンセプトで制作されたそうです。H-EQはバンドごとに違うアナログ機材のカーブを使用しながら、MS処理などができるようになっていたり、H-Delayはテープディレイに対してシンセサイザーのような複雑なモジュレーションをかけたりできます。

H-Compはどうかというと、音質はかなりアナログ寄りですが、アタックやリリースの早さやパラレルコンプレッションができる点がデジタルならではといった感じになっています。機能的にも音質的にも、他のコンプに出来ないことが出来るコンプなので、ぜひ使っていただきたいです。WavesのGoldバンドルに入っているので、持っている人は多いかと思います。

 

「パンチ」機能

通常のコンプと同様、スレッショルド、レシオ、アタック、リリースなどのツマミがありますが、その中にPunchというあまり目にしないツマミがあります。これは音の立ち上がりのトランジェントを強調できるツマミです。このツマミがユニークなのは、アタックのツマミの効果とは完全に独立して動作する点です。通常、アタックタイムを短めにすると音の立ち上がりは抑えられていきますが、その状態でPunchのツマミを上げると、元々あったのとは別の立ち上がり成分が浮き出てきます。もちろん、アタックタイムを長めに取り立ち上がりを強調した状態で、更に立ち上がりに別のキャラクターを足していく使い方もできます。トランジェントを調整できるプラグインは多々ありますが、コンプと並列に使うとなると複雑なルーティングが必要になるので、なかなか聴くことができないかかり方です。

 

異なる4つの「アナログ」キャラクター

「Analog」というツマミがあり、出音を4種類から選ぶことができます。恥ずかしながら1と2の違いがよく掴めていないのですが(注目しているポイントが悪いのかもしれません、情報あったら教えてください)、3と4はかなり分かりやすいです。今回は自分がよく使うキャラクター3と4の特徴を書いていこうと思います。

キャラクター3は2k~4kあたりの中高域が抑えられ、若干鼻にかかったようなサウンドになります。ドラムバスなどにかけると分かりやすいと思いますが、かなりおとなしいサウンドです。元々歪みがちな音色をスッキリさせたり、全体的に暗めの音を目指す場合に重宝すると思います。

キャラクター4は3とは逆で、かなり歪みがちなサウンドの傾向があります。ベースなどにかけると真空管で歪ませたようなブーブー言うサウンドになります。とても派手な印象なので、明るい音や激しいトラックに向いています。

 

パラレルコンプレッションが可能

最近のコンプではあまり珍しい機能ではなくなりましたが、原音とコンプ通過後とのバランスを取ることができます。H-Copmは全体的にリリースが歪んで派手になる印象があるのですが、かなり強く圧縮してポンピングするようなサウンドになっていてもドライ量を増やすことで、ざらつきがありつつもアタックとリリースが自然なサウンドに仕上げることも可能です。

 

H-Compはキックとベースで使うことが多いです。結構歪んでくるので、繊細さが大切になってくるボーカルなどでは使用したことがありません。メインでガンガン使う系ではないものの、いい意味で大雑把なサウンドという印象があります。Punchのツマミの効果などは他のコンプでは出来ない音作りになるので最初は戸惑うと思いますが、独特なサウンドを作りたい人は持っておいて損は無いかと思います。