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OzaShin’s diary

OzaShin/虹原ぺぺろん

IK Multimedia MODO Bass レビュー

機材・プラグイン

今回はIK MultimediaのMODO Bassをレビューしたいと思います。

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 MODO Bassはおそらくフィジカルモデリング音源初のベース音源です。

フィジカルモデリング方式というのは、サンプルを使用せず、演算のみで実際の楽器の音を出すことができる音源のことをいいます。ピアノ音源ではMODARTT Pianoteq、ギター音源ではXhun AudioのIronAXEなどがありますね。私はPianoteqや弦楽器を鳴らすことができるAAS String Studio VS-2などを持っています。

フィジカルモデリング音源の特徴として最も大きなポイントは、サンプルを使用しないので音を細かく調節できる点だと思います。後述しますが弦の張りの強さやピックアップの種類や位置を細かく調整でき、自分でベースをデザインできるような感じです。また、サンプル読み込みを行わないので、音源を立ち上げてから鳴らせるようになるまでほとんど時間を必要としない点も大きなポイントです。MODO Bassのインストーラは170MBほどでしたが、音源を鳴らしている部分の容量は30MBほどで、あとはGUIの画像データだそうです。インストール自体も1~2分ほどで終わりました。メモリはほとんど食いませんが、動作は若干重い印象です。購入を検討している方は、スペックなどを確認しておくことをお勧めします。

 

MODO Bassの中には12種類のベースのモデリングが入っています。まずはこれらのベース全てを選んでそれぞれの音を確認してみてください。初めに触った印象は「各ベースの特徴はよく捉えているが、飛び抜けていい音でもない」という感じですね。Trilianなどとは全く方向性が違う音源だと思います。弦がフレットに触れてビビる感じやスライド時のノイズの表現力はかなり高いと思います。連打したときの違和感もありません。サウンドがどの程度ランダム化するのかは設定できないので、細かくエディットできたほうが良かったですね。

MODO Bassの最も優れていると感じたポイントはスライドの自由度です。サスティンペダルを踏んだ状態でレガート奏法をすると、2つの音の間をスライドさせることができます(フィンガリングが有り得ない動きをしない2音間に限る)が、2音目のベロシティの強さでスライドの速さを切り替えられます。細かく確認できていないのですがおそらくベロシティの強さに応じて127段階の速さになっているのだと思います。これまで最もスライドが優れていたベース音源はKOMPLETEの中などに入っているScarbeeシリーズの3段階だと思いますが、それを遥かに超える自由度です。反面、ゴーストノートは弱ベロシティで素早く入れられる仕様のほうが良かったです。Trilianのゴーストノートが同じキースイッチ方式なのですが、かなり不便だったので……。

MODO Bassはプリセットやパッチを切り替えることなく、低音鍵盤に設定されたキースイッチでフィンガー、ピック、スラップ奏法を切り替えることができます。スラップはベースのモデルにもよりますが、全体的にベタっとした感じの若干おとなしめな音です。少し強めのベロシティで入力すると、カリッとした音質のするスラップになってきます。スラップは演奏者によって叩き付け方が全く異なるので、キャラクターの違う3種類くらいのスラップ音が選べると良かったなあと感じました。

 

弦の種類やゲージの選択もできますが、ほとんど音は変わらないので特にこだわりがなければプリセットのままでよいのではないかと思います。ピックアップ種類の選択は見たこともないようなベースを作ることができてとても楽しいですね。個人的に、リッケンバッカージャズベのピックアップを載せたときの音がものすごく好みでした。時間があったらやってみてください。プリセットはエフェクトやアンプの状態も含めてセーブすることができるので、よく使う音は瞬時に呼び出すことができます。内蔵のアンプを通さず、外部のアンプを使いたい場合は、アンプの音量をゼロにし、ドライのみの音量を上げればOKです。

 ピッチベンドを使うと、フレットごとの半音単位で音が上下します。フィジカルモデリングならではの面白い仕様ですね。つまりスライドをピッチベンドで表現することが可能です。実際のピッチベンドの入力に対して少し遅れて反応するような動きをするので、若干癖があってリアルタイム録音のときは戸惑うかもしれません。一般的なピッチベンドのように、連続的なピッチ変化の方式に切り替えることもできます。チョーキングなどをやりたい場合はこちらの方式に切り替える必要があります。

 

大まかな仕様を紹介しましたが、後発ならではの、既存のベース音源の問題点を上手く解決している点が素晴らしいと思います。スライドの不便さ、読み込みの遅さ、入力の煩わしさなど、それぞれのベース音源が持っていた弱点を克服していて、使いやすいベース音源だと感じました。ただし、最初にも記したように、飛び抜けて良い音というわけでもないので、既存のベース音源から取って代わるものである、というわけでもないと思います。ベース音源はTrilianが定番として頭一つ抜けている印象がありましたが、今後はドラム音源のようにいくつかの派閥に分かれてくるのかもしれません。